教材としてはブルグミュラー25の練習曲程度、
学年では小学校低学年~中学年ごろになります。

この年代は少しずつ身体も成長し、
論理的な思考力も発達してきます。

中学受験をお考えのお子さまの場合も
まだ勉強が本格化していない時期ですので、
この時期にピアノを頑張っておくことで、
受験期とピアノを両立できる「貯金」を作ることを目指します。

導入期と同じ理由から、
コンクール参加にも積極的に参加していただきます。

楽器操作の基本を習得する

身長と手の成長を考慮しながら、
身体の使い方と基本的な楽器の操作方法を覚えていきます。

この時期に最も重要なことは、
正しいフォームの基本を理解して、
家庭での練習時に自分で再現できるようになることです。

足台なしでペダルが踏めるまで身長が伸びたら、
アクセントペダルだけではなく、
レガートペダルが踏めるようになることも
この時期に身につけるべき大切な楽器操作です。

ハノンやツェルニーを通じて指の支えを作っていきますが、
てのひら側の筋肉で支えられるよう、
指の外側の筋肉による無駄な力をつけてしまわないよう、
注意深い指導が必要な時期です。

奏法について、
まだ解剖学的な説明は行わず、
身体感覚による理解と、
出た音を聴いて判断できるようになることを目指します。

より複雑で長い曲に挑戦していく

導入期よりも長い曲、さまざまな調性の曲を取り扱います。
ブルグミュラーに代表されるロマン派の楽曲を中心に、
バロック、古典、近現代の楽曲にもレパートリーを広げていきます。

さまざまな時代の楽曲、さまざまな様式感の楽曲に触れながら、
音楽史と西洋史についても興味を拡げていきます。

実際の楽曲を分析(アナリーゼ)しながら、
導入期に感覚的に培った音楽のしくみを、
この段階では筋道立てて整理して、
「音楽のきまりごと」「お約束」として
論理的理解によって裏付けしていきます。

アナリーゼ作業をレッスンで一緒に行うことを通じて、
楽譜を頭で理解し、
楽譜から楽曲の理想的な設計図を描き出す力を育成します。

演奏とは、
楽譜の解読して脳内に生まれた理想の楽曲イメージを、
自分の身体と楽器を操作することによって
音に変換していく作業です。
この作業を経ていない演奏は、
一見上手な演奏であっても、
それはスポーツ的な筋肉運動、
あるいはサーカス的な「芸」でしかありません。

この年代から、
脳を使って楽曲を構築し、
脳が命じて自分の身体と楽器を正しく「操作」して音を出し、
出た音の美しさと理想のイメージとの差を耳で判断していく、
…ということを習慣づけることで、
初級の曲であっても
芸術として向き合う体験を持つことができます。

音へのこだわりを養う

この年代では、
導入期に培った聴く力を土台に、
倍音をたくさん含む、済んだ美しい音と
響きの広がらない、平板な詰まった音の違いを
聴き分けられる耳を育てていきます。

この「美しい音」を聴き分ける力は、
身体操作と楽器操作、奏法の基礎の習得とリンクしています。

また、曲の個々の箇所にふさわしい「音色」を作ることにも
挑戦していきますが、
この「音色づくり」は、アナリーゼとリンクしています。

このように全てを総合しながら、
子ども本人の中に、
美しい音を好み、
表情ある音を出したいという欲求が
自然に生まれるように示唆していくことを心がけています。